令和2年に告知された
標準的な運賃はご存知ですか?
物流業界の人手不足と高齢化に対応するために業界団体や行政が協力しつくりあげたものです。
標準的な運賃で検索すると上位にトラック協会が作成した各地方の料金表などが出てきます。

実際にこれだけの運賃が支払われていれば運送会社もドライバーも十分な利益を確保できて万々歳、
なのですが料金表通りの運賃とならないのが現状です。
運送会社の方であれば実運賃よりも安くなるケースを多く耳にされたことでしょう。
今回は「これだけ出しているのに何故運賃が安いと言われるのだろう」と発荷主企業から思われることもある運賃について、理由の一つとされる業界の多重下請け構造について絡めながらお話します。
業界の多重下請け構造による低運賃化

実際に運送業者が受け取れる報酬は、一番最初にオーダーを出した初荷主から一次請けを経て二次、三次…へと下請け企業に推移した後のものとなるのが大半です。
発荷主の中でも自社の貨物分全ての車両を手配できる企業は限られており、また利用可能なトラックを全て把握し続けられる物流マンも同様です。
結果として定期便、スポットチャーターと両方で仕事の割り振り役を担う企業が必要になります。
会社を経由した分だけ経費が差し引かれることになり、例え初荷主が標準的な運賃を出せていたとしても末端に届く頃にはそれより安い運賃となってしまうカラクリがここにあります。
業界再編で物流企業が数が激減して全体がもっとシンプルになれば話が変わってくる可能性もあるかもしれませんが、まだまだ時間がかかりそうですね。
発注者でさえも把握が困難な状況に

発荷主企業にとってもブラックボックス化した部分が多く適正な支払いが行われているかは、自社に近い範囲となるのが現実的なところでしょう。
今は、実際に走る運送会社がその時その時の相場や、ガソリン代と人件費と車両の減価償却などと対比しながら定期とスポットを合わせて毎月の売上を計算しているのが実情です。
物流二法の施工から全国の物流企業は増加を続けおよそ六万社までに膨れ上がりました。
自由化に伴い価格競争も激化し現場がそのシワ寄せを受ける事態となりました。
そこに大手物流会社やそのOBが設立した仲介会社なども絡み発注ルートのブラックボックス化が進んだ結果、極端なケースでは大本の発注者でさえ誰が運んでいるのか把握困難になる程業界の構造が複雑になってしまっています。
加えて運送は各社サプライチェーンの中でも最後尾に位置するものですから予算の優先度も低くなりがちです。
差別化の難しさや事故対策教育費用など可視化が困難な部分が原価を曖昧にし
価格交渉の向かい風となっています。
最後に‥

標準的な運賃を実運送会社の大半が収受できるようになるには、今以上に運送会社に求められる品質のラインが明確となりサプライチェーンのコントロールが容易に、シンプルになる日を待たなければならないのかもしれません。